2020/12/28

40.湿度

最初から熱帯魚屋として建てられたセブンスの建物は湿気が外に漏れない構造になっているらしい。

そのおかげで壁中の木材が腐らないのはいいのだけど、温室内の湿度が常に97%以上をキープしており、天井から壁まで結露して、まるで浴室にいるかのようだった。ある時は「温泉を引いて暖房してるんですか?」と、聞かれたほど湿気が立ち込めていた。

だから壁中の木材は無事でも、温室内の木は瞬く間に腐敗してゆく。もはや何が正解なのかも分からない。

エアコンなどで除湿をすれば手っ取り早いのは百も承知。しかし、当時だけでなく今でもそんなことに電気代は注ぎ込めない。

そこで意を決して挑んだのが温室の大改装だった。腐りかけた木の棚を全て解体し、感電にビビりながら電気配線を施し、「腐らない材料」だけで新たなストックルームを作った。予算で買えた水槽は13本の45cm水槽だけ。それが特徴的だったセブンスの温室ができたきっかけ。

今思えば、お金が無くて良かったと思う。工夫する事でお金で済ませる以上の成果を出す癖が培われたから。

ただし、高い湿度は変わらない。20年以上で私の肺は未知の菌に蝕まれているかもしれない。