2014/01/16

1人の奇跡は無数の人達の支えの上で起こっている

毎日とは言わないけど、たまに無性に食べたくなる…
 
誰でもそんなメニューがあるのではないだろうか?
今は閑散とした通りにひっそりと佇む一軒の喫茶店。とても営業しているとは思えない外観ながらも入り口のドアに吊るされた「営業中」のプレートが唯一の目印。
薄暗い店内にはカウンターとテーブル席がいくつかあり、テーブルは俺の膝上ぐらいの高さしかなく、ソファもバネがやれてフニャフニャ、だけどもこれは演出ではなくその店のありのままの姿だ。

一番奥のテーブル席に陣取って注文するのはいつものセット。白い大きな皿の上にサラダとホットサンドイッチ、ナポリタンスパゲッティ、それとちょっとしたデザートが添えられている
芳ばしく焼かれたサンドイッチにはツナと玉子がミックスなっていて、スパゲッティは正真正銘の和製ナポリタンである。
しっかりと茹でられた太めの麺、具は玉ねぎ、ピーマン、マッシュルームそして魚肉ソーセージ。それを鉄のフライパンでよく炒めてたっぷりのケチャップで味付けされた濃厚なスパゲッティをさりげなく添えられたホットサンドの耳と共に食べるのが最高。
最後は小さめのワイングラスを器にしたヨーグルトゼリーとコーヒーで締めくくる。

俺ぐらいの世代までなら「デパートの最上階」で食べたあの味で理解できるはず。あの頃は週末に家族と買い物というが一大イベントで、レストランで食べるナポリタンはご馳走。車は一家に一台しかないからお出かけはいつも家族一緒だった。それが今となっては車どころか家までもが別行動、それが他の国より豊かだと胸を張ってそれでも物足りないと国はさらに借金を増やす。
 
そんな誰でも分かりそうで誰も気付いていない空しさをケチャップ味のナポリタンは教えてくれる。 だけど今の子供達がそれを食べても何も感じる事はできないだろう、きっともう今がギリギリの状態なんだ、俺達がなんとかしなきゃいけないんだ。

無垢な顔で眠る子供の姿を見てそんな事を考えてしまった。今日は一緒に寝よう。