2014/09/04

「いい石だしてるツアー with 家族」 8

この状況、そして「湯釜」なんていうネーミングであれば想像がつく。そしてこの道は現在夜間通行止めなっているのだが、その理由もわかった。ここは白根山という有名な(ぜんぜん知らなかったけど)観光スポットで、近くに車を停めて火口ギリギリのところまで歩いて見に行けるという楽しそうなところなのだが、火山活動が活発化しているようで駐車場は閉鎖されていて、火口から半径1km圏内では歩行および車両駐停車禁止という物々しい雰囲気になっている。道路脇には見張りの車もいたので夜まではやってらんないから通行止めなんだろう。それにしても別世界、まるで地球が口を開けているようだ、地球って生きているんだなぁとしみじみ思ってしまう、そしてこの辺りから温泉地特有の硫黄の匂いが気になり始めてきた。

分水嶺を過ぎて道は下り坂が続く、外はまだ岩と草だけの世界。時々路肩のスペースに車を停めて写真を撮るが、きっとこのスケール感は画像では伝わらない、だから目に焼き付けておこうと必至に記憶に残した。森林限界との境目付近まで下ったであろう所に「この先駐停車厳禁区域あり」という標識が立っていた、おっ!?きっと車を止めたくなるような絶景ポイントで、渋滞を防ぐための標識なんだろう、妻にカメラを用意させてから窓を開け、なるべく速度を落としてそのポイントに近づいていった。
でました「駐停車厳禁」ゾーン!石がゴロゴロしてるぞ、絶景はどこだ…グハァッ、ウゲェ~、臭せェッ!と書いたが、実際は「クサイ」なんて言葉を出せないぐらいの激臭、呼吸をしたいけどその臭いがゆえに息すらできない、それはあの温泉の臭いだが風呂で嗅ぐレベルの1000倍以上の濃度、そして妻が地面から猛烈な勢いで「黄色い気体」が噴出しているのを指差した。この時俺は直感した「ココは地球のケツの穴だ!」ここままでは命が危ない(しかも窓全開だったし)、急いで車を進めてゾーンを抜けて近くのロープウェー乗り場の駐車場へ逃げ込んだ。

しばらく家族全員放心状態だった、そして全員の無事が確認できた途端にあの「臭い」に関する感想を思いつく限り言い合った。俺は「オナラ」が黄色く描かれるのは漫画の世界だけだと思っていた、だけど気体の臭さが限界まで濃縮されると黄色になる事を知った。家族ではこの場所を「オナラポイント」と命名した。

後で調べて分かったのだがこの場所は「殺生河原(せっしょうがわら)」という名前が付いていて、その噴出する硫化水素ガスがあまりにも高濃度がゆえ草木すら生えないという恐ろしい所なんだそうだ。その臭いもさることながらネーミングセンスが素晴らしい、駐停車厳禁とされているが徒歩での散策が許されているという奇妙さも良い。今後ぜひとも再挑戦したいと思った。