2011/12/15

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60半ばのご夫婦が住むお宅の水槽を掃除してきた。いつもなら毎年お盆ごろに声がかかるのが恒例で水槽の横にある大きなテレビでご主人が大好きな高校野球を見ている、俺も近頃は甲子園にハマッているので、二人して野球に釘付けになっていれば作業なんかちっとも進みやしない。でも今年は今頃になっての依頼、理由を聞けば夫婦ともに思い病を患ってしまい長期間の入院を余儀なくされていたらしい。今年の猛暑の中、留守宅に放置されていた水槽は見るも無残な姿になったいた。お恥ずかしいと謙遜する奥様ではあったが、こればかりは仕方の無い事だし、なによりも昨日このブログで書いた内容と今日のこの水槽の現状の一致に運命を感じずにはいられなかった。
ご主人のお気に入りであるニッソーのスティングレーに大きな青龍石が2個入っている水槽、もてる力を全て注ぎ込み、ご夫婦が元気だった頃の水槽の姿に戻した。藻類のこびりついた機材の清掃には普段は薬剤を使うのだが、今回は薬を使わずに全て手作業で清掃した、きっと二人共に今も重い薬を服用しているだろうから、せめて水槽だけでも薬に頼らないようにとの想いも込めて。
魚はプラティを選んだ、普通なら増えすぎるなどという理由で敬遠されがちだが、今はその強い生命力が何かの力になってくれそうな気がしたから。
俺は医者ではない、病気を治す力も無い、できることはアクアリウムだけ。だけどそれで少しでも力になることができるのなら喜んで死力を尽くそう、スティングレーのプラティ水槽が世界ランク1位を超越する何かを持っていることを否定できる者はいないだろう。

蒼い空、吹き付ける浜風、湧き上がる歓声…次の夏は必ず。