2011/08/14

文字化けしてたらすみません

今日初めて店の120を「すごい!」と褒めていただきました。今までは「わ~」とか「へぇ~」「えっ?」「無言」など様々ではありましたが良い評価はいただけませんでした。これぞ無冠の帝王作品にふさわしいスタートではありませんか!それにしてもあの水景のなんたるかを説明してもあまり皆様ご納得いただけでいないようですので、この場をお借りして詳しくご説明させていただきます。

私はご存知の通りネイチャーアクアリウムの技法を用いて、それを稼業としている人間です。それを店に展示するとなると少なくともその水槽で自分の技量を示さないといけません、それには健全な生体の維持もさることながら技法などもどれだけ熟知しているかも含まれますので、当然のように教科書に載るような作品を作らなくてはならなくなります、さらに複数展示されている水槽のイメージがかぶらないように故意に石や流木、草の種類を変えて選ぶようにしておりました。ですが私のような単なるコピー人間ではその条件内で自分の意志までをも組み込めるような技はなく、今までのは単なる広告ポスターのような魂の入っていないものでありました。
そこで、今回はこの水槽だけという限定付で上記のような事項を一切度外視して、例えば自分の自宅に水槽を置くとしたらこれだけ自由に作りますというものにいたしました。私生活において私は「飽きる」という感覚がほとんどありません、車やバイクはもちろん、パソコンや服など身の回りの物もそうですし、カミサンなんて10代の頃からの付き合いですが飽きた事など一度もありません(笑。
逆にそれらが変わる事の方がストレスを感じます、店で使ってきたボールペンでさえ何度も芯を交換し、5年以上使ってプラスチックが劣化して崩れてしまい、泣く々新調したところです。 私がウェブサイトなどで使い捨て風潮を批判するのはこのような意識があるからです。擦り切れたパンツを留守中に捨てられた時は本当に泣きそうになりました「アイツはまだイケる!って言ってたんだぞ!」みたいな。
そんな私が水景に対する意識もほとんど同じですので、できれば最低10年は付き合えるものにしたいのですが、店の水槽の中身が10年変わらないというのは営業的にかなりマズイものですので仕方なく変えてきました、ですが今回は最低でも10年という目標を掲げて、素材を吟味しました。
中に入っている物は「木1本と石3個」だけ、素数学的にこれが最定数だと思います、この数量ですと素材自信の持つ演出効果が極めて少なく、製作者の配置の作為がモロに影響してほとんどごまかしが効きません、あえてストイックな状況を作って並べた状態がアレです。さらに最初に植える草の量も最低限にしました、最終的な姿はハッキリと自分の中にあるのですが、それを最低量の草でかつ、広がりの過程を全て草の生長に任せてみようと思いました。繁茂する草もあれば負けて衰退する草もあるでしょう、その壮絶な生死の繰り返しが人工的には決して作ることのできない趣を出す事ができると信じています、それはまさに「錆」と同じです。

「菁」という名が似合う水景になってくれると嬉しい。