2013/10/27

孤高の達人 藤枝亮一

明日の納品のために約1ヵ月間サンゴ水槽でストックしておいたナンヨウハギ、1ヶ月経てば慣れて余裕で網で捕獲できるかと思っていたが、ヤツの警戒心は他のナンヨウの比ではなく、エサは食えどもそれ以外は全く巣穴から出てきやしない。かといってサンゴや岩を全て取り出すのは避けたいゆえ、夜間に出勤して懐中電灯片手の夜這い攻撃覚悟でおりました。

夕方のエサの時間、やるだけやってみようと網を片手にエサでおびき寄せて待ち構えてみた。ただでさえ警戒心が強い固体だけに水槽の前に人が立っているだけで挙動不審に…たぶんチャンスはあっても1回限り、網を水面ギリギリの位置でキープして、体を動かさずに魚の動きに集中すること5分…水面下5cmぐらいまでは数回来たものの水面まで上がって来ることは無く、そろそろあきらめようと思ったその時!フラッと水面のエサにつられて上がってきた一瞬の隙を突いて「チェストーッ!」水の抵抗を見極めた入射角25度のスマートショット(さらに網のたるんだ部分を巻いて押さえてあるのでバシャっとならない)、その0.2秒後には網の上に打ち上げられたナンヨウハギが何が起こったのかも分からない様相で暴れもせず横たわっていた。

お花見金魚から始まった俺の観賞魚歴32年の集大成とも言える一撃、この狂った世界で本能など腐って消えうせたと思っていた狩猟の感覚がしっかりと残っていたと実感できる瞬間でありました。

どうせ3日後には白点病さ。