2016/08/07

「タクミランチャー」

ベーゴマを新化させた「ベイブレード」というのをご存知でしょうか?ミニ四駆ほどの歴史ではないですが、それでも誕生から約15年過去2度のブームがあり、今は3度目がきているようです。

最近のブームに必ずといっていいほど起こるのは商品のプレミア価格化です、個人販売ならいざしらず通常仕入れした店でさえ定価の数倍の値段で売るような酷い状態。今回も店頭では品薄状態が続いており、ネットオークションなどでは通常の5倍の価格がついている物もあります。

ベイブレードはランチャーと呼ばれる手動の回転装置でコマを回すのですが、そのままでは子供の手では持ちづらく、別売りのグリップを取り付けて使う事が多いのですが、このグリップが全然手に入らないのです。
画像はタカラ社からお借りしました
先月コンビニなどで有料のクジ(1回600円)があり、上位賞の中にグリップがありました。今の俺は買う側のほとんどが損をする売り手市場のギャンブルを好ましくないと思っているので買うべきではないと言っていたのですが、息子の友人が1回でグリップやプレミアム賞を当てて息子がブチ切れたらしく、今まで4回チャレンジして全てハズレ…今や人間不信状態です。

そんな息子はグリップを持っている友人を妬むような心境になっていたようなので、このように伝えました「これがもしも立場が逆で、お前にだけグリップが当たり、友人から恨まれるような状況になったらどうする?他の人よりも良い物を得るという事は、それと同じぐらい怖い事なんだ」と。
それにより嫉妬心は治まったようですが、グリップに対する気持ちは収まらないようで、何より無理な持ち方でブン回していたせいか手首が腱鞘炎のような症状になってしまい、さすがにこれはマズイかなと。

これがスネオの家だったらクジを全部買い占めてグリップを手に入れただろう、でもそれじゃ本末転倒だし、何よりも我が家の家計はノビタ家レベルである。ならばどうする?ノビタの家と違うのは君の父親が「セブンス店長」だということだ!

「だったら木でグリップ作ろうぜ!」どうせ嫌がるだろうと思っていたが予想以上にノッてきた。そこで店に転がっている端材を使ってノコギリとリューターで形を整えたらこれが意外と良い感じ、面白くなってきたのでニスでエイジングペイントを施し、仕上げにタミヤの2000番ペーパーでツヤツヤに仕上げたらスゴイのができあがった。
木目の風合いがシブすぎる…もはやマグナムである。しかも形状は息子の手の大きさに合わせてあるのでコンビニクジのグリップなんか屁も同然である。

息子は「持ちやすい!」「軽い!」と大喜びなのだが…たぶん家に帰って母親に見せたら息子をそっと抱きしめて言うだろう「ごめんね…」と。友人の家に持っていって遊んでいたら、きっと友人の父は目に涙を浮かべながら小銭を渡し「これでジュースでも買いなさい…」と言ってくるだろう。

息子よ、それでいい。それでいいんだ。誰一人不快にさせる事のない至高の遊びを貫いてゆけ、不運だったのは君の父親が「セブンス店長」だという事だ。