2016/10/18

秋の大祭

2016年春の悲劇「赤倉饅頭事件」忘れもしないあの悲しみ。あの時はカブでリベンジするのを目標としたが、あれからカスタムどころか登録すらしてない状況ゆえ、あの時と同じフィットで向かう。

年に2回だけ行われる池の平での仕事は、点検程度の作業ゆえその報酬もガソリン代で消えるぐらいなのだが、帰りにあの饅頭を買えるなら全てが報われるのである。

まずは仕事を終らせるのが先だ、春にヒーターの故障を確認していたので冬の前に交換。魚を追加して、エサを補充、簡単な掃除と足し水をすれば完了。大きな問題は無さそうなのでこれで仕事は終わり。

挨拶を済ませて現場を立ち去る、その頃空には重々しい鉛色の雲が立ち込めて冷たい雨が降り始めてきた。まさかあの時の悲劇が繰り返される前兆なのか?

いや、今日こそは大丈夫だ。春に買えなかった悔しさを爆発させてやるぜ

『いらっしゃいませ』

「おうっ!店にある饅頭全部買わせてもらうぜ」

『お客様困ります、全部買われてしまったら明日旅館に納める饅頭が無くなってしまいます!』

「うるせぇ!こっちは金払うって言ってんだよ、グダグダ言わずに饅頭全部よこせや!」

…なぁ~んてまた入り口がベニヤ板で封鎖されてたりしてね。
うぉ~!饅頭屋の看板光ってる!よぉっしゃぁ!店の前に車を停めると奥にヒマそうなおっちゃんが座っていた。

『あい、いらっしゃい』

「えぇ~、饅頭を全…とりあえず10個入りと、バラで20個ください」

『あいよ』

…まぁ、理想と現実なんてこんなもんだが、それでもトータル30個は自己新記録である。これでも家に帰れば3日もしないで消えて無くなる。来春は悲劇を起こさないために休業の事を聞いてみた。

「春に来た時は長期休業の張り紙があったのですが、来年はどうですか?」

『そうだね、来年も5日から月末ぐらいまでは休むと思うよ』

「…そうですか」
(肝心な部分が抜けているように思えるが、聞き直す気になれなかったのでスルーした)

『それじゃ1個80円だから2400円ね』

池の平の仕事は今回も赤字である。