飼い方の説明は接客の時と同じとして、子供にとって分かりやすく、さらに面白く伝えるにはどうすればいいんだろう?教育実習の大学生の気持ちがよく分かった。
昼過ぎに近くの小学校に行き、最初に校長室に呼ばれてしばらく緊張の対談。そのあと6年生の担任に連れて行かれると体育座りの少年少女がズラリと並んでいた。
おそらく、言葉よりもビジュアルが有効だろうと、黒板に大きくグッピーの絵を書いて、胎生メダカの雌雄の違いから説明すると完全に場の空気を掴んだ。さかなクンが世に出る何年も前に同じ事をやったわけだ。
そんな特別授業から3年ほど経った頃、中学生の男子生徒が熱帯魚を飼ってみたいとやって来て「俺、あの時の生徒です」と。
一瞬トリハダが立った。僅か一人だけだけど子供の人生に影響を与えたんだと思うと、教育者の責任の重さが今頃になってのしかかってきたようだった。
そして今、彼は父親になり、今度は自分の子供達とアクアリウムを楽しんでいる。