ガサガサガサッ、ドンっ!
空から何か大きな物が降ってきて、店の窓にぶつかった。何事かと外に飛び出すとトビが羽を広げた状態で地面で横たわっている。
具合が悪そうなのは一目瞭然なのだけども、なんせタカのような形りをしているわけで怖くて触れない。
しばらくしても動かないので、相当に弱っているっぽい。抱えてみたけど暴れる事もないので、こりゃ重症だなと。
見れば上空でカラスが何羽も鳴いているので、アイツらに集団でやられたようである。
さて、コイツはどうしたものか?怪我もしているようで、このまま外に放してもカラスか野良ネコのエサになるだけだし。とりあえず一日だけ面倒をみることにした。
鳥類の飼育経験が無いわけではない。ただし、十姉妹とセキセイインコの経験が両翼1メートル以上のトビに通用するのだろうか?
まずはスポイトで水をあげてみた。くちばしにスポイトを当ててやると舌を動かして飲んでいる。おぉ、身体はデカくでも要領は同じか!
店の帰りにスーパーで鶏肉を買ってきて、1センチ程の切り身を与えるとパクパクとあっという間に平らげた。か…かわいいじゃねぇか!
しかし相手は野生動物、このまま家で飼うわけにはいかないのである。そして翌日、トビオ(名前)は保健所に引き取られた。
次の日、見慣れぬ若者が店に…なんてね。