その中で一番過酷だったのは一人のご老人宅にあった水槽で、昼間は家族が出かけて留守番状態だったので、その暇つぶしがてらに呼ばれていたのは想像に容易かった。
それは別に構わないのだが、季節構わず突然呼ばれ、真冬に駆けつけた時は外の水道が凍りつき「水、出ないんですけど」と、言っても「まぁ、なんとかしれや」の一言で、氷の張ったバケツの水で洗い物をするという地獄のような現場だった。
あのジジィいつか殺してやる…と、毎回のように殺意を抱いていたものだが、残念ながら実行する前に見事に大往生されてしまった。
今思えば、それが良い下積みとなっているのかもしれない。それだけは感謝しておく。