2021/02/22

74.葛藤

店内の展示水槽も増えてきて、来店者からそれなりの評価を得られるようになった。それと比例するように消化不良のような気持ち悪さを感じるようになってきた。

褒めてもらえるのは嬉しいけども、自分が作っているのは巨匠作品のコピーなので、自分が評価されるような事は何もないのである。

製作のオファーが来ても「ADAみたいにして欲しい」という依頼がほとんどで、セブンスじゃなきゃいけない理由はどこにもなかった。

「俺って何なんだろう?」路頭に迷うような日々が続き、再び目指すものを見失った自分はアクアリウムを私生活から切り離すようになった。