住めば都…とは違うと思うけど、コインランドリーの窓から漏れる明かりの中で過ごす時間が、日を追うごとに愛おしくなってくる。
この感覚は、年に一度ぐらいのペースで行っていた東京一人旅の感覚に似ていて、一日中歩き回り、足も痛くなり始めた頃、空が薄暗くなってきているのに気付き、それと同時に独特な孤独感と寂しさが込み上げてくるあの感じ。
それをより味わうために、マイボトルに入れた紅茶を飲むのだけども、いつまで経っても熱々で飲む度に口を火傷している。
高校2年の夏休み。片想いの娘にフラれたショックで一晩中バイクを乗り回していた。そんな気持ちを察してか、友人も一緒に同行してくれたのだが、24時間営業のゲーセンの近くを通った時に、俺と友人が走っていた間に突然車が割り込んできて道を塞がれたんです。
何事か!?と思って、後方の友人を見ると、車の窓から懐中電灯で顔を照らされて何かを言われていたんです。「カツアゲだ!」と察した俺は、とっさに友人を見捨ててその場から走り去りました。
しばらくして戻ると、友人は平然とその場所で待っていて、何があったか聞いてみたら、ミニパトに早く帰れと言われただけだ。だそうだ。
「そうか、気づかんかったわ」と言って再び走り出したのだけども、おそらく逃げたのはバレていたと思う。
普段なら記憶の底で眠っているような思い出なのに、LEDのくせにあの頃の夕暮れのような優しいコインランドリーの明かりが呼び起こしてくれました。
どうやら火傷したのは口だけではないようだ。